無常の克服
どんな栄光も、いつかは必ず終わります。良き人も次々に消え去っていきます。
この世の悲しい宿命、時に、人生の意義も見失わせます。
それでも、この世への執着は断ち切れません。
「人生は苦しみ、一歩一歩に攻撃が加えられる。最後に最悪なものがやってくる」(ショーペンハウエル)
生老病死の炎は実に堪えがたいものです。
一つまた一つ剥ぎ取られていきます。
それでも意外に、「自分だけは大丈夫だ」と人は楽観するようです。
妥協が屈辱的となり、ようやく気付きますが、時すでに遅し。
「ただこの世界にいるだけでいい」、果てにこうつぶやきます。
この世への未練なのでしょうか?
しかし、裸一物の人間に守るべきものなどありません。
真実に肉薄した達観があるだけです。
ここに、何かしら命の重みを感じます。
日常的意識では及ばない境地です。
当たり前に思っている命も、実は大いなる恵み。
そう思えるなら、安らかな気持ちは乱されることはありません。
無常は楽観の織りなす幻想に過ぎないのだから。
思伝門下塾 池之内 亨
2024年02月25日 22:48