持たざる者の強み
富がなければ、情けなく、惨めだと思うかもしれません。しかし、そうとも限らない面もあります。
人生の時間は有限、そして短い。
その一方、その修養には為すべきことが多い。
当然、労力と時間を要します。
王道はありません。
富があるからといってアドバンテージが与えられるわけではありません。
逆に、ものが溢れ、その管理に多くの時間を費やします。
更に、富は使い方を誤ると、人生に対する免疫力を下げかねない。
ヤスパースは、苦悩にこそ人生の本質があり、本来の自分に気付ける機会と指摘します。
それこそが自分を鍛え、最終的には死を乗り超える力を与えます。
それなのに、富があると、受けるべき苦難を遠ざけてしまいます。
富者には厄介な負債が与えられているといえるかもしれません。
一方、持たざる者にはそれがない。
大きな強みといってよいのではないでしょうか。
思伝門下塾 池之内 亨
2024年03月03日 23:47